AIを最強の味方にするには
近年、AIが「人的資本」—つまり社員の才能やスキル—を活用するための強力なツールとして注目を集めています。
しかし、ただAIツールをポンと導入するだけでは、本当の成果は得られません。むしろ、何のためにAIを使って何を実現するか、全体の戦略をしっかり組み立てることが、会社の成長にとって大切です。
2024年10月29日~11月1日に台北で開催されたATDのAPCカンファレンスへ参加し、AI関連のセッションを中心に参加し、多くの気づきがありました。https://www.atdapc.org.tw/en
今回は、企業の管理職や幹部の皆様に向けて、人的資本を活かすAI戦略のポイントをご紹介します。
1. AIの「ユースケース」と「戦略」の違い
AIの個別の使い道を考えることから始めておられる企業様も多いと思いますが、長期的には「戦略」を持つことが大事だということが、繰り返し語られていました。
例えば、目の前の問題を解決するだけでなく、社員の成長や働きやすさに繋がるようにAIを活用するといった考え方です。このような視点を持つことで、AIの導入が短期的な成果だけでなく、企業の長期的な成長にも結びつくのです。
2. 成功に必要な3つの要素
AI戦略を成功させるためには、次の3つのポイントを押さえておきたいです。
– ガバナンス(管理体制)
AI戦略の進め方には、リーダーシップと管理体制が欠かせません。データのプライバシー保護や公平性を守る仕組みを整え、AIプロジェクトを支える体制を構築する必要があります。
– 将来に対する備え
経済の変化や法律の改正など、会社の外の状況がAI戦略に影響する可能性を考え、柔軟に対応できるように準備しましょう。例えば、AI規制が変わっても対応できる体制を作ることが重要です。
– 継続的な改善
AI戦略は一度で完結せず、定期的に見直して改善することが大切です。社員や顧客からのフィードバックを取り入れ、戦略をブラッシュアップしていきましょう。
3. 実行ステップと成果の測定
実際にAI戦略を進める際には、具体的なアクションプランを立て、KPI(成果指標)を決めて、効果を測定する必要があります。例えば、AIを使った研修の参加率や、AI活用による生産性の向上といった成果を見ながら進捗を測定していくと、戦略の有効性が把握しやすくなります。
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今回のATD APCでは、個別具体のAI活用ではなく、AI活用によりどう事業成果を上げるか、人的資本経営にどう生かせるかが、繰り返し語られていました。
活動を継続するために、足元では、社員一人ひとりが、AIを活用したプロジェクトやトレーニングの価値を感じられるよう、社内の環境を整えることも重要です。
社員のスキルアップや新しい能力の開発をサポートにおいて、AIは強力な味方になってくれます。
そして、今あるリソースを最大限に活かす方法を考えることも大切です。
AI導入のための高額なシステムを導入しなくても、社内の業務や人材育成をサポートする小さなAIツールからスタートすることができます。例えば、社員のエンゲージメント向上に向けたAIアンケートや、業務効率を上げるためのデータ分析ツールなどから始めてはどうでしょうか。
最後に、戦略を実行する上での「目標設定」も必須です。
短期的なゴールと長期的なゴールを明確にし、目指す成果に向かって少しずつ進めていくと、社員全員が成長と成果を実感できるようになるでしょう。
貴社の未来を支えるAI戦略づくりのご参考にしてください!